2004.03.21

「イノセンス」に映像美と主題の乖離を観てきた

「イノセンス」を観てきたが、観にいってゲッソリしている。それはなぜか。

主題を表現するために不要とも思えるシーンが多く、「映像美」が主題表現と結びついていないのだ。ギミックに走っているが、まさにマヤカシとしてのギミックともいえる。その点が気に入らないのだ。ハリウッド系のよくできた、シーン一つ一つに無駄が無い、厳しいダイエットの結果ともいえる濃縮された映像の連鎖を期待していたのだ。

ストーリーの元ネタは漫画の1冊目にはいっている。

主題が暗示的、主題に対する答えも暗示的だ。
何を読み取るかは人によってちがうと思うが、実体と論理的な存在としての両面(つまりほとんどすべての意味での)アイデンティティーの危機を描いている、と私は受け取った。

この作品、己の気持ちをセリフにして語るところがほとんど無い。語る場合はすべて引用の形である。ストレートにはいわないのだ。これでアメリカ人に受けるかどうかはタイヘン怪しい。ストーリーは単純、派手なアクションシーンはそれなりに派手、エスニックを感じさせる祭りのシーンなどもあるので、その辺で受けを狙うのか。

そんな中で、ストレートな感情発露であるバトーの事件解決時の啖呵が意外と重要。というか、「人形」を軸として葛藤を捕らえた場合、ここですべての回答が示されていると思われる。バトーの「人形」としての矜持みたいなものを感じる。

ご覧になる方は、オタクに対して仕掛けられた罠に囚われることなく、注意して観て、よく反芻していただきたい。
ハリウッド型の「あーおもしろかった」で終わるタイプの映画ではなく、たぶん観終わった後に考える時間が長く、考えることによって観客自身にプラスされる考え方や概念が多いタイプの映画なのだ。これは。


主題と映像美の乖離自体も罠である可能性がある。そのレベルの理解を推し進めるためには、受容しそこなった何かがあるのかもしれない。それはちょっと痛い。

まだ観終わって18時間程度なので、この程度の理解です。
もうちょっと深い理解ができたら書き足すかもね。

2004.02.27

輸出できる文化は何だ?: イノセンスと遊戯王の海外配給決定と OUT のエドガー賞

元祖しゃちょうの日本で伸びているコンテンツビジネスがアニメだけという話を見ていてふと考えた、
日本から欧米に輸出できて金が取れるのは何かというお話

またまたまたアサヒ・コムから「日本製のアニメ映画、封切り前に世界評価 海外配給決定」のニュース。劇場用映画、イノセンス遊戯王の海外配給が決まったというお話です。

記事をよく読んでみると、遊戯王の映画は日本での公開予定がないという点は注意が必要かもしれません。

イノセンスは士郎正宗氏の攻殻機動隊を原作とする押井守監督の劇場アニメ映画。人と機械の境界線で魂の存在が己とはなんぞやと右往左往あーたらこーたらするという内容でしょう。たぶん。来週公開ですので内容は判りませんが。

攻殻機動隊は以前「GOHST IN THE SHELL/攻殻機動隊」のタイトルで漫画の1冊目に該当する部分が押井守氏の監督でアニメ映画化されており、日本製の映画が、米国のBillboardセルビデオランキングで1位を獲ったというところで注目を浴びました。

日本でアニメファンの熱狂的支持があるもの(押井作品には熱狂的支持者がいる)が、海外でも受けるというのがなかなか面白いところ。
ですが、よく考えると、1970年代には米国製テレビ向けアニメーションが東京12チャンネルなどで放送されていて、コドモだったわたしや周りのガキンチョどもは楽しく観賞していたわけですから、アニメーションのレイヤーでは日本人と米国人でも互換性が高いと考えてもよいはずです。

ちょっと前までいけるゼと思われていたテレビゲームに関しては、3DO の失敗や Xbox の日本での低迷などを引っ張り出すまでもなく、米国製ゲームが日本人にウケず日本製が米国人にウケないというのは皆さん感じるところだと思います。

日本のもので欧米でウケているものは、アニメだけではなく、恐怖映画もあります。ハリウッドリメイクの「リング」等が目立っていますね。そのほかにも、最近、桐野夏生「OUT」、世界最大「エドガー賞」候補にというニュースもあり、日本製の虚構は結構欧米でウケるのではないかという予感がするのですよ。

大塚英志氏が、「不良債権としての『文学』」で文学のビジネスモデルを見直すことによって不良債権からの脱出を図るような話を書いていますが(ごめんなさい、まだちゃんと読んでません)、持ってゆく市場によってはすごい勢いで売れるっていうことも考えられませんかねえ?

手始めに綿矢りさを米国にもってくというのはいかが?
orkut.com に綿矢りさグループでも作ろうかしら。

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